一日葬と家族葬の違いとは？それぞれの特徴と選ぶポイント

一日葬と家族葬は、どちらも小規模で自由度の高い葬儀として注目されています。しかし、進行や費用、参列者の範囲には明確な違いがあります。どちらが自分たちに合っているかを判断するには、それぞれの特徴やメリット・注意点を知っておくことが大切です。ここでは違いと選び方をわかりやすく紹介します。

進行と形式の違いを知る

一日葬と家族葬は似ているようで、日数や流れに違いがあります。それぞれの形式がどのように進むのかを理解しておきましょう。

一日葬とはどんな形式か

一日葬とは、通夜を行わず、告別式と火葬のみを一日で済ませる葬儀の形式です。準備や進行が簡素で、時間的・体力的な負担が少ないのが特徴です。参列者数に制限はなく、希望すれば親族以外の知人や友人を招くことができます。

日程調整がしやすく、比較的新しいスタイルとして都市部を中心に広まっています。形式がシンプルであるぶん、宗教的な儀式も省略することが多く、自由な内容にしやすい点も選ばれる理由のひとつです。

家族葬とはどう違うのか

家族葬は、通夜・告別式・火葬という一連の流れを、少人数で行う葬儀のことを指します。形式自体は一般葬とほぼ同じで、参列者の範囲だけを限定するスタイルです。親族やごく親しい友人などを招いて、落ち着いた雰囲気の中で故人を見送ることができます。

従来の形を残しつつ、準備や対応の負担を軽減できるため、葬儀にある程度の時間をかけたいと考える家庭に向いています。

進行にかかる日数の違い

一日葬は基本的に告別式と火葬のみで完結するため、1日で終わります。一方、家族葬は通常2日間にわたり、1日目に通夜、2日目に告別式と火葬を行います。宿泊や準備の時間を含めると、家族葬のほうが時間も手間も必要です。どちらが適しているかは、参列者や家族の体力的・精神的な負担をどう考えるかによって変わります。

費用や準備における違い

次に、それぞれの葬儀で発生する費用の目安と準備の負担について見ていきます。

一日葬の費用の特徴

一日葬は儀式の数が少ないため、全体の費用が抑えやすい傾向にあります。一般的には40万円〜80万円前後で実施されることが多く、式場利用料や人件費、飲食費が最小限で済みます。また、通夜振る舞いを省略できるため、料理や返礼品にかかる費用も少なくなることでしょう。

ただし、式の内容やオプションを加えると、家族葬とあまり変わらない金額になる場合もあるため、見積もりはていねいに確認することが大切です。

家族葬の費用の傾向

家族葬の費用はおおむね60万〜100万円程度が相場とされています。通夜と告別式を含むため、会場利用料や人件費が2日分かかるのです。参列者が少ないぶん、香典返しや料理などの費用は抑えられますが、儀式の進行に必要な費用はしっかり発生します。

寺院へのお布施や戒名料なども考慮すると、全体でやや高額になるケースもあります。内容を比較しながら、本当に必要な項目を取捨選択することが重要です。

準備や対応の負担の差

準備の面でも違いがあります。一日葬は短期間で済む分、準備が簡単で、関係者への連絡や受付などの手間も最小限です。対して家族葬は、2日間の流れに沿った準備が必要であり、宿泊手配や食事の準備、僧侶との打ち合わせなども加わります。

式全体に手厚さを求める場合は家族葬が適していますが、負担を抑えたい場合は一日葬が有力な選択肢となります。

選ぶときの判断ポイント

どちらを選ぶかは、遺族や故人の考え、状況に応じて判断する必要があります。

参列者の範囲を考える

親族以外にもお世話になった人を呼びたい場合は、参列に柔軟な一日葬のほうが適しています。逆に、家族やごく親しい人だけで静かに見送りたいという意向がある場合は、家族葬が合っているでしょう。

どちらも参列者を制限しやすい形式ではありますが、当日の対応内容が異なるため、希望の雰囲気をイメージしながら選ぶと失敗が少なくなります。

宗教儀式や寺院との関係

菩提寺との付き合いがある場合は、家族葬のほうがスムーズに進むことが多いです。一日葬では通夜を省く形式に対して反対されることがあり、戒名をもらえない、納骨を断られるといったトラブルに発展する可能性もあります。

宗教的なしきたりや地域の習慣がある場合は、葬儀社に相談したり、寺院に事前に確認を取ったりするようにしましょう。

家族の体力や日程を優先する

遺族の年齢や体調、日程の都合などをふまえて判断することも重要です。短期間で済ませたい、遠方からの参列者がいる、時間的な余裕がないといった事情がある場合は、一日葬の方が現実的です。反対に、しっかり時間を取ってていねいに見送りたいという希望があるなら、家族葬が向いています。

それぞれの家族に合ったかたちで進められるよう、柔軟な視点をもつことが求められます。

まとめ

一日葬と家族葬は、どちらも小規模で自由度の高い葬儀ですが、大きな違いは進行の内容と所要日数にあります。一日葬は通夜を省略し、告別式と火葬を1日で行うため、準備や費用の負担を抑えたい家庭に適しています。家族葬は通夜・告別式を2日かけて行う形式で、親族中心にていねいに見送りたいという希望に応えるかたちです。費用面では一日葬が比較的安価ですが、内容を加えると家族葬と同等になることもあります。選ぶ際には、参列者の範囲、寺院との関係、家族の体力や日程などをふまえて総合的に判断しましょう。自分たちに合った無理のない方法を選ぶことが、後悔のない見送りにつながります。